過去受賞者の声、メッセージ

畠中遥子さん

畠中遥子 さん|東京大学教育学部

(オンライン学習広場「かしの木」代表)
※所属は取材当時(2023年)のもの

第16回「金融と経済を考える」高校生小論文コンクール(2018年度)
特選・金融広報中央委員会会長賞「四方よし」
受賞時・福岡県 福岡県立小倉高等学校 2年


過去受賞者の畠中遥子さんに応募した時のきっかけや、小論文の書き方のヒント、これから応募するみなさんへのメッセージをお聞きしました。

1)このコンクールに応募しようと思ったきっかけは何ですか?

海外派遣事業に参加して感じたことを表現したいと思い、このコンクールに応募しました。
私は中学3年生の夏に、日本青年会議所が主催する「少年少女国連大使」というプロジェクトに参加し、国連本部でSDGsについての研修を受けたことで、実践例を見てみたいと思うようになりました。
高校1年生の夏には、北九州市などが主催する「上下水道ユース研修」に参加し、ベトナムで上下水道普及の支援事業を実際に見る機会がありました。ベトナム市民にとってもよいし、北九州市もそれで学ばせてもらう、環境(世間)にもよい、こういうのが「三方よし」の事業だな、と思ったことがきっかけで、SDGsの目標(貧困をなくそう)を達成するためには、環境・売り手・買い手のほかに、作り手(遠く離れた生産者)の視点も加えたらよいのではと「四方よし」の考えを思いつきました。
そういった自分の考えや思いを表現できる場所はないかな、と探していたところインターネット検索でこちらのコンクールにたどり着きました。

2)小論文を書く時、気を付けたことはありますか? これから応募を考えている方へのヒント等があれば一緒にお願いいたします。
畠中遥子さん

自分の考えを「言語化」することによって、ベトナムの現地で触れたものを整理することができました。さらに、小論文を書くにあたって様々な情報をインターネットで調べたことで、色々な知識がついたのではないかなと思っています。

小論文を書くために私が気を付けた点は2つあります。
まず1つ目が「スッとわかるような文章で書くこと」
1文を長くしすぎず、わかりやすさを重視して書くことを心掛けました。自分の考えを「言語化」するとなると自分の中でストーリーが出来て、そのうえで読者に伝えるという順序になると思いますが、それを一発で読者に伝えるのは難しいと思います。
最初から読んでスッと入ってくるような文章を心掛けるとよいと思います。
そして2つ目は、「出典を必ず書くこと」
高校生の小論文コンクールなので、出典を書くことにまだ慣れていない人が多いと思いますが、自分の考えの部分と参照した部分をはっきり区別する方が読者に伝わりやすいし、出典を遡ることもできるので、記入漏れがないようにするとよいと思います。

3)タイトルを付けるときにどういう風に工夫したらいいのかポイントがあればお願いします。

タイトルで目を引くか引かないかは非常に重要になってくると思います。
たくさん文字を使って長いタイトルを書くことはできますが、それだとインパクトが弱くなってしまいます。最初のインパクトや伝えやすさを重視してみるとよいと思います。

4)小論文を書いてみて、ご自身の中に「変化」はありましたか。

それまで自分の考えを言葉にすることは多かったのですが、文章で表現し発信する機会はあまりなかったので、考えてきたことをまとめるいい機会になったと思います。
私は大学に推薦入試で入学したのですが、入試でも論文を書いて提出したので、コンクールで培った出典の書き方や、スッと入ってくる文章といったテクニックの部分がかなり活きてきたのかなというふうに思いました。

5)これからコンクールに応募する方へメッセージをお願いいたします。

私が実際にこの小論文を書くのに費やした時間は1か月程でした。
その考えの下地となるものは、2年間くらい新聞の記事などをスクラップして、少しずつためていました。これまでの私の経験の集大成として書いた小論文になります。
「金融と経済」というコンクールのテーマは、一見自分の生活とはかけ離れているように感じますが、経済活動の弊害で環境問題がおきているといったように「つながり」を考えてみてはどうでしょうか。例えば、金融や経済活動は世界中でつながっているので、日本の貧困問題は日本だけで解決することはできません。
海外に行ったりしたような大きな経験がなくても、何か自分が常日頃やっていることや趣味にしていること、その興味や関心のあるものにアンテナを張ることがすごく重要だと思っています。新聞を読んだり、インターネットで調べたりしたら高校生でも問題提起できると思います。
自分の思いを言語化することはすごくいい機会になるので、ぜひいろんな方に応募していただき、自分の考えを発信していただけたら嬉しいなと思います。頑張ってください!

さいごに)畠中さんのボランティア活動について紹介します

大学進学後、子ども向けオンライン学習広場「かしの木」を設立しました。以前からSDGsや貧困について関心があったことも大きいのですが、高校生の時に学習支援ボランティアに参加してみたら、自分が思っていたボランティア像と結構かけ離れていて……。
自分が思っていたボランティア像は、ボランティアをすることで、そこに関わった人たちだけでも「根本的な解決に導ける」というものだったのですが、実際の現場は余裕がなく「とりあえず宿題を終わらせる」「学校に提出する」ことが第1目標でした。これではなんの解決にもなってないと、すごく疑問を感じたのが一番大きなきっかけです。

▽畠中さんが代表を務めていた「かしの木」は下記URLからご覧ください
https://kashinoki.online/

かしの木 WEBサイト

大学では貧困問題に関心をもっていた1年上の先輩に声をかけ、学習支援のボランティア活動を始めました。新型コロナウィルスが流行するなか、地元の北九州ではオンライン環境の有無で教育格差が開いているとの話を聞き、何かしなければと思ったんです。
ビデオ通話による学習サポートでは、初めはなかなか心を開いてくれない子もいましたが、多くのスタッフが親身になって話を聞いたり、勉強を教えていく間にだんだんと心を開いてくれるようになりました。「勉強やろうね」といったら一緒に頑張ってくれるようになったり、学力の面でもかなり基礎力が高まって点数が上がった子もいます。
そして「スタッフ側の変化」もありました。初めは、子どもが好きだからという理由で始めた方もいるのですが、色々な子ども達と接することで、「子どもの貧困」についての理解度があがったと感じます。
今は対象が小学生から高校生なので、いずれは未就学児にも支援を届けられたらと思います。3歳までに聞かせられる「ことば」によって、その後の言語発達の部分に影響があるという研究結果もでているので、より小さな子どもたちにアプローチできたらいいですね。

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